不登校を経験しているお子さんや、フリースクールに通っているお子さんを持つ保護者の方にとって、学習面での遅れは大きな不安要素の一つです。特に英語は、一度つまずくと積み重ねが難しく、将来の進路にも関わる重要な教科です。
しかし、フリースクールでの英語学習は、学校のような一斉授業とは異なる柔軟なアプローチが可能です。お子さんの興味やペースに合わせることで、英語への苦手意識をなくし、むしろ得意科目に変えていくチャンスでもあります。
この記事では、フリースクールでの英語学習の進め方や、不登校中でも無理なく取り組める勉強方法を具体的に解説します。お子さんが自分らしく学び、自信を育んでいくためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
フリースクールでの英語学習を始めるメリットと注意点

フリースクールにおける英語の学びは、一般的な学校教育とは異なる特徴を持っています。一人ひとりの心の状態や興味関心に寄り添える環境だからこそ、英語という新しい言語の習得が、お子さんの自己肯定感を高めるきっかけになることも少なくありません。
自分のペースで苦手意識を克服できる
学校の英語授業では、文法や語彙がどんどん先に進んでしまい、一度分からない箇所ができると取り残されてしまいがちです。これが英語嫌いを生む大きな原因となりますが、フリースクールでの英語学習は、「分からないところまで戻って学び直せる」という最大の利点があります。
中学生であっても、必要であれば小学校の内容やアルファベットの書き方から再スタートしても全く問題ありません。誰かと比較されるプレッシャーがないため、自分の理解度に納得しながら進めることができます。この「自分で理解できた」という小さな成功体験の積み重ねが、学習への意欲を再燃させます。
また、フリースクールには専門の学習サポーターがいる場合もあり、お子さんの性格に合わせた教え方をしてくれます。集団の中で質問するのが苦手な子でも、一対一や少人数であれば安心して疑問を口にできる環境が整っています。
受験や進学に向けた基礎力を養える
フリースクールでの学習を選択する際、将来の進学を視野に入れているご家庭も多いでしょう。英語は高校入試や大学入試において、ほぼ確実に必要となる科目です。フリースクールで基礎を固めておくことは、将来の選択肢を広げることに直結します。
学校の授業に出席していなくても、適切な教材や指導があれば、入試に必要な学力を身につけることは十分に可能です。特に英語は、単語力と基本的な文法構造さえ押さえておけば、後からの挽回が効きやすい科目でもあります。無理に難しい問題に挑戦するのではなく、基礎固めに時間を割けるのはフリースクールならではの強みです。
将来的に全日制高校や通信制高校への進学を考えている場合、英語の基礎力があるだけで、進学後の学習負担が大幅に軽減されます。基礎ができているという事実は、お子さんにとって大きな安心材料となるはずです。
フリースクールでの学習のポイント
・学年にこだわらず、本人の理解度に合わせたスタート地点を選ぶ
・「毎日5分」など、負担感の少ない継続を目標にする
・点数よりも「英語を使って何ができるか」に目を向ける
学校の授業形式が合わない子でも取り組みやすい
教科書を読んで問題を解くという、静的な学習スタイルが苦痛で不登校になるケースもあります。しかし英語は、音楽や映画、ゲーム、海外の文化など、多種多様な入り口が存在する教科です。フリースクールでは、これらをお子さんの興味に合わせて柔軟に教材化できます。
例えば、洋楽の歌詞を書き写したり、好きな海外ゲームのメッセージを解読したりすることも立派な英語学習です。従来の「お勉強」という枠組みを外すことで、拒絶反応を示していたお子さんが自発的に英語に触れ始めることもあります。
また、フリースクールではタブレットPCやオンラインツールを活用した学習も積極的に取り入れられています。映像や音声を伴うインタラクティブな教材は、文字だけの教科書よりも視覚的に分かりやすく、集中力が続きにくいお子さんにも適しています。
不登校中の子供に合った英語の勉強方法とステップ

英語学習を始める際、いきなり厚い参考書を買ってきても、長続きさせるのは難しいものです。特に不登校の時期は、心のエネルギーを考慮しながら、少しずつハードルを上げていくスモールステップの考え方が不可欠です。
読み書きよりも「聞く・話す」からスタートする
日本の学校教育では読み書きが重視されますが、学習の初期段階では「音」から入るのが自然です。特に勉強への抵抗感が強い時期は、机に向かってペンを握る作業よりも、動画を見たり音声を聞いたりする方が精神的なハードルが低くなります。
YouTubeの英語学習チャンネルや、子供向けの英語アニメなどを活用し、まずは「英語の音に慣れる」ことから始めてみましょう。意味が全て分からなくても構いません。リズムや発音に触れるだけで、脳は英語を受け入れる準備を整えていきます。
この段階では、「正解を求める」ことよりも「英語を浴びる」ことを重視してください。耳が慣れてくると、知っている単語が聞き取れるようになり、それが喜びとなって次の学習意欲につながります。発音を真似して声に出してみるのも、気分転換として効果的です。
好きなアニメやゲームを英語学習に活用する
勉強を「義務」ではなく「趣味の延長」として捉えることができれば、継続はぐっと楽になります。お子さんが普段楽しんでいるコンテンツを英語で楽しむ方法は、非常に強力な学習手段です。最近では、動画配信サービスの字幕機能を活用して、好きな作品を英語音声・日本語字幕で見ることも簡単にできます。
特に海外製のオンラインゲームが好きな場合、チャットや音声で使われる短いフレーズを覚えることは実益を兼ねた学びになります。自分が興味のある分野であれば、難しい単語でも自ら調べようとする意欲が湧いてくるものです。
こうした学習法は一見遠回りに見えますが、実用的なフレーズが身につきやすく、何より「英語は楽しいものだ」というポジティブなイメージを植え付けてくれます。知識の断片が繋がっていく感覚は、自信を取り戻すきっかけになります。
参考書選びは「解説のやさしさ」を最優先にする
ある程度学習の習慣がついてきたら、体系的な知識を身につけるための参考書を取り入れます。この時、最も重要なのは「学年相応のもの」を選ぶことではなく、「一人で読んでも100%理解できるもの」を選ぶことです。解説がイラスト豊富で、文字が大きく、言葉遣いがやさしいものを選んでください。
不登校の時期は、分からない問題に直面したときに「やっぱり自分はダメだ」と自分を責めてしまいがちです。それを防ぐためには、「絶対に間違えないレベル」から始めることが鉄則です。中学生であっても、小学生向けの英単語帳やドリルから始めることは、決して恥ずかしいことではありません。
また、参考書は一冊を完璧に仕上げることにこだわらず、パラパラと眺めて興味があるページから手をつけるスタイルでも構いません。お子さんが「これならできそう」と思える一冊を一緒に探してあげてください。
教材選びに迷ったら、まずは書店で「世界一わかりやすい」や「ひとつひとつわかりやすく」といったシリーズを手に取ってみるのがおすすめです。視覚的に整理されており、心理的な圧迫感が少ない構成になっています。
フリースクール以外でも活用できる英語学習ツール

フリースクールに通いながら、あるいは自宅での時間を活用して、外部の学習ツールを併用するのも一つの手です。現代では、通学しなくても質の高い指導を受けられるサービスが充実しており、不登校のお子さんの強い味方となってくれます。
マンツーマンで安心なオンライン英会話
対面でのコミュニケーションに不安があるお子さんでも、画面越しのオンライン英会話であれば比較的リラックスして取り組めることがあります。特にマンツーマンのレッスンは、周りの目を気にする必要がなく、自分のペースで会話を進められるのがメリットです。
多くのスクールでは、不登校支援に理解のある講師や、日本語が話せる講師を選べるようになっています。まずは挨拶程度の短い会話から始め、徐々に時間を延ばしていくことで、コミュニケーション能力と英語力の両方を養うことができます。外国の講師とつながることで、自分の世界が外に広がっている感覚を持てるのも大きな魅力です。
オンライン英会話は、決まった時間にパソコンの前に座るという「ゆるやかな約束」になります。これが生活リズムを整えるペースメーカーとしての役割を果たすこともあります。無理強いは禁物ですが、お子さんが興味を示したら体験レッスンから試してみると良いでしょう。
隙間時間にゲーム感覚で学べる英語アプリ
スマートフォンやタブレットで利用できる英語学習アプリは、机に向かう気力が湧かない時でも手軽に取り組めます。クイズ形式やRPG要素を取り入れたアプリが多く、ゲームをクリアする感覚で英単語や文法を習得できます。
アプリの良さは、正解・不正解が即座に判定され、何度でもやり直せる点にあります。人間相手ではないため、間違えても恥ずかしくありません。また、学習記録が可視化される機能があれば、自分がどれだけ頑張ったかを客観的に確認でき、達成感に繋がります。
代表的なアプリには、Duolingoなどの世界的に有名なものから、日本の入試対策に特化したものまで多種多様です。まずは無料版でいくつか試してみて、お子さんの好みに合うものを見つけるのが継続のコツです。寝転がりながらでも学べる気楽さが、心の負担を軽くしてくれます。
不登校支援に特化した通信教育やタブレット教材
近年、不登校のお子さんを対象とした、出席扱い制度に対応した通信教育やタブレット教材が増えています。これらの教材は、学校の教科書に準拠しながらも、アニメーションや音声を使って一人でも理解できるように工夫されています。
最大の利点は、「AI(人工知能)がその子の苦手なポイントを分析してくれる」点です。どこでつまずいているかを自動で判別し、最適な復習問題を提示してくれるため、効率的に学習を進められます。英語のリスニングや発音チェック機能が搭載されているものもあり、バランス良く4技能を学べます。
また、こうした専用教材はサポート体制が充実しており、オンライン上で質問に答えてくれる担任制を導入しているものもあります。フリースクールの活動と組み合わせて利用することで、より強固な学習基盤を築くことが可能になります。
英語学習を継続させるための環境づくりと親の関わり方

学習内容と同じくらい重要なのが、お子さんの意欲を削がない周囲のサポートです。特に不登校の時期は、学習の成果よりも「取り組もうとする気持ち」を大切に育む必要があります。親御さんの関わり方が、お子さんのやる気を左右します。
「勉強しなさい」と言わずに興味を引き出す
最も避けたいのは、親が焦って「勉強しなさい」とプレッシャーをかけてしまうことです。不登校のお子さんは、学校に行けない自分に対して既に強い罪悪感を抱いていることが多く、追い打ちをかけるような言葉は逆効果になりがちです。
代わりに、日常の中に自然に英語を紛れ込ませる工夫をしてみましょう。例えば、夕食時に「これって英語で何て言うんだろうね?」と一緒に調べてみたり、英語のYouTube動画をリビングで流しておいたりするなど、「英語を身近なものにする」アプローチが有効です。
親自身が楽しそうに英語を学んでいる姿を見せるのも良い刺激になります。「お母さんもこの単語覚えたよ」といった等身大の姿を見せることで、学習を特別な苦行ではなく、生活の一部として捉えられるようになります。
小さな「できた」を積み重ねて自信をつける
不登校を経験しているお子さんは、自信を失い、失敗を極端に恐れる傾向があります。そのため、英語学習においても「できた」という実感を持たせることが何よりも優先されます。たとえ単語を一つ覚えただけでも、それは立派な前進です。
褒める時は、「100点を取ったから偉い」といった結果ではなく、「昨日より10分長く机に向かったね」「新しい単語を調べたんだね」という「プロセス(過程)」を具体的に認めてあげてください。自分の行動を見てもらえているという感覚が、お子さんの安心感に繋がります。
もし途中で学習が止まってしまっても、それを責めないでください。調子が悪い時期があるのは当然だと受け止め、「また気が向いた時にやれば大丈夫」とゆとりを持って見守ることが、長期的な継続への道となります。
自信をつけるためのアイデア:
・カレンダーに勉強した日をシールでマークする。
・覚えた単語の数を「見える化」するグラフを作る。
・覚えたフレーズを親に対して「教える」機会を作る。
外部の講師やサポーターを上手に頼る
親子の距離が近すぎると、どうしても感情的になってしまい、学習指導がうまくいかないことがあります。そのような場合は、無理に親が教えようとせず、外部のプロや信頼できる第三者に任せるのが賢明な判断です。
フリースクールのスタッフはもちろん、不登校への理解がある家庭教師やオンライン講師は、お子さんの心の状態に配慮しながら適切な距離感で指導してくれます。親以外の大人と関わることは、お子さんにとっての社会復帰の第一歩にもなります。
外部のサポーターを導入することで、親は「先生」の役割から解放され、「一番の理解者」としての役割に専念できます。家庭内での会話に学習の進捗が持ち込まれすぎないようにすることで、家がリラックスできる安全な場所であり続けることができます。
進路を見据えた英語の検定試験や評価の仕組み

英語学習がある程度軌道に乗ってきたら、客観的な目標として検定試験を活用したり、学校の評価に繋げる仕組みを知っておいたりすることが将来の安心材料になります。ここでは、具体的なステップと制度について解説します。
英検(実用英語技能検定)を目標にするメリット
英検は日本で最も認知度の高い英語検定であり、級という分かりやすい指標があるため、目標設定がしやすいのが特徴です。合格という結果が出ることで、自分の学力が社会的に認められたという大きな自信になります。
また、多くの高校や大学で英検の取得が優遇措置の対象となっています。不登校の期間があっても、英検の級を持っていることで、学力を客観的に証明する手段になります。フリースクールでの学習を英検合格という形に結びつけることは、実益と自信の両面で非常に価値があります。
試験を受ける際は、まずは確実に受かると思われる級から挑戦しましょう。合否だけでなく、スコアで自分の伸びを確認できるため、次へのモチベーションに繋がります。最近ではコンピューターで受験できるS-CBT形式もあり、会場での集団受験が苦手なお子さんにも選択肢が広がっています。
出席扱い制度を利用して内申点をカバーする
文部科学省の通知により、不登校の状態であっても、一定の要件を満たすことでフリースクールや自宅での学習を学校の「出席」として認める制度があります。これを活用することで、欠席日数を補い、内申点(調査書)の評価に繋げることが可能です。
英語の学習に関しても、オンライン教材の利用状況や提出物の成果が評価の対象になる場合があります。この制度を利用するには、在籍している学校長との連携が必要です。フリースクールと学校がうまく協力し合うことで、お子さんの努力が公式な記録として認められるようになります。
「学校に行っていなくても評価してもらえる」という事実は、お子さんの精神的な重荷を軽くし、学習への前向きな姿勢を引き出す大きな力となります。まずは在籍校の先生に相談し、どのような条件で出席扱いが可能かを確認してみましょう。
出席扱い制度の一般的な要件
・保護者と学校との間に十分な連携があること
・ICT(タブレット等)や対面指導など適切な学習が行われていること
・学習の進捗状況を学校が把握できる仕組みがあること
海外留学やインターナショナルな進路という選択肢
日本の学校形式がどうしても合わない場合、英語力を活かして海外の学校へ進学したり、国内のインターナショナルスクールや国際系の通信制高校を検討したりするという選択肢もあります。英語は、日本という狭い枠組みの外へ飛び出すためのパスポートになります。
海外では、日本のような一斉授業ではなく、個性を尊重する教育スタイルが主流の地域も多いです。英語が話せるようになることで、「自分らしくいられる場所」の選択肢が世界規模に広がります。これは、今の環境で苦しんでいるお子さんにとって、非常に希望のある未来図です。
もちろん、すぐに留学というわけにはいきませんが、将来の可能性としてこうした道があることを知っておくだけでも、英語学習の意味合いが大きく変わります。「自分を救うための武器」として英語を学ぶことは、強いモチベーションを生む原動力となります。
| 進路の選択肢 | 英語学習の活用方法 |
|---|---|
| 通信制高校 | 基礎英語を固めておくことでレポート作成がスムーズになる |
| 全日制高校(一般入試) | 英検取得による加点や、入試得点源としての活用 |
| 国際系高校・インター | 会話力を重視し、多様な価値観を学ぶ姿勢を養う |
| 海外留学・短期研修 | 実用的なフレーズを習得し、自己表現の手段とする |
フリースクールでの英語学習で未来を広げるためのまとめ
フリースクールや不登校中の英語学習において最も大切なのは、知識を詰め込むことではなく、「英語を通じて自信を取り戻し、世界を広げること」です。学校のペースに合わせる必要がないからこそ、お子さんの興味関心を最大限に活かした、自由で豊かな学びが実現できます。
最初はアニメやゲーム、好きな音楽といった身近な入り口から始め、少しずつアプリやオンラインツールを取り入れていくことで、学習の習慣は自然と形成されていきます。親御さんは焦らず、お子さんの小さな一歩を具体的に褒め、温かく見守るサポーターに徹してください。
英語というスキルは、将来どの道に進むにしても必ずお子さんを助ける力になります。検定試験への挑戦や出席扱い制度の活用など、具体的な目標や制度を上手に取り入れながら、一歩ずつ進んでいきましょう。今の時期に自分のペースで英語と向き合った経験は、きっとお子さんの将来にとって大きな財産となるはずです。



