不登校のお子さんを持つ保護者の方にとって、フリースクールは新しい一歩を踏み出すための大切な選択肢の一つです。しかし、いざ検討を始めると「月謝が高すぎるのではないか」「将来の進路に響かないか」といった不安も尽きないものです。
フリースクールには確かにデメリットも存在しますが、事前に適切な対策を知っておくことで、それらのリスクを最小限に抑え、お子さんに最適な環境を整えることができます。この記事では、フリースクールのデメリットと対策を具体的に解説します。
学校以外の学び場を探している方が、安心して次の一歩を選べるよう、費用の抑え方から出席扱いの仕組みまで、役立つ情報を丁寧にまとめました。お子さんの笑顔を取り戻すためのヒントとして、ぜひ最後まで参考にしてください。
フリースクールのデメリットと対策|事前に知っておくべき3つの壁

フリースクールを検討する際、まず直面するのが「お金」「質」「制度」という3つの大きな壁です。これらは学校教育とは異なる民間施設だからこそ生じる課題ですが、解決の手がかりは必ずあります。
月謝や入会金など経済的な負担が重くなりやすい
フリースクールの多くは民間団体が運営しており、国からの公的な助成が十分でないため、どうしても利用料が高くなる傾向があります。文部科学省の調査によると、月額の平均費用は約3万円から5万円程度とされており、家計への負担は無視できません。
この経済的なデメリットへの対策としては、まずお住まいの自治体に「利用料の助成金制度」がないか確認することが最優先です。近年、不登校支援の拡充により、月額数万円単位で補助を出す自治体が急速に増えています。
また、毎日通うのではなく「週に2〜3日」といったプランを選択することで、月謝を抑える工夫も有効です。無理のない範囲で継続できるよう、まずは家計に合わせた利用形態を検討してみましょう。
運営団体によって教育内容やスタッフの質に大きな差がある
フリースクールには法律による明確な設置基準がないため、教育方針や活動内容は施設ごとに千差万別です。自由に過ごすことを重視する場所もあれば、学習支援に力を入れる場所もあり、お子さんとの相性が極めて重要になります。
中には、スタッフの専門知識が不足していたり、設備が整っていなかったりする場合もあり、選定を誤ると「せっかく通い始めたのに馴染めない」という事態になりかねません。これを防ぐための対策は、事前の徹底したリサーチです。
HPの情報だけで判断せず、実際に足を運んで「スタッフが子供にどう接しているか」を観察してください。複数の施設を比較することで、お子さんが最もリラックスして過ごせる空間がどこなのかを見極めることができます。
「出席扱い」や「学歴」としての法的な位置づけが不安定
フリースクールに通っても、自動的に在籍校の出席扱いになるわけではありません。法的にはあくまで「学校外の活動」という扱いになるため、何の対策も講じないと通知表が空白のままになったり、欠席日数がカウントされ続けたりします。
しかし、現在は文部科学省の通知により、一定の条件を満たせばフリースクールでの活動を学校の「出席」として認める制度が整っています。このデメリットを解消するには、学校側との密なコミュニケーションが欠かせません。
具体的には、通学を検討している段階で学校の担任や教頭先生に相談し、フリースクールと学校の連携体制を整えてもらうよう依頼しましょう。この手続きを丁寧に行うことで、内申点への影響を和らげることが可能になります。
経済的な負担を軽減するために!費用面での具体的なデメリット対策

フリースクールの費用は、多くのご家庭にとって最大の懸念事項です。しかし、制度を賢く利用したり、選択肢を広げたりすることで、支出を大幅にカットできる可能性があります。
自治体独自の助成金や補助金制度を徹底的に調べる
近年、東京都をはじめとする多くの自治体で、フリースクール利用料の助成事業が開始されています。例えば、東京都では一定の要件を満たすことで月額最大2万円の補助を受けることができ、実質的な負担を半分以下に抑えられるケースもあります。
こうした助成金は、自分から申請しない限り受け取ることができません。まずは市役所の教育委員会や福祉窓口を訪ね、「フリースクールの利用に関する経済的支援はありますか?」と直接問い合わせてみてください。
また、所得制限がある場合や、特定の団体への通所のみが対象となる場合もあります。制度の詳細を早めに把握しておくことで、無理のない資金計画を立てられるようになるでしょう。
助成金申請のポイント
・お住まいの「市区町村名 + フリースクール + 補助金」で検索する。
・年度の途中から制度が変わることもあるため、定期的に最新情報を確認する。
・申請にはフリースクールからの証明書や領収書が必要になることが多いので保管しておく。
NPO法人やボランティアが運営する低価格な施設を探す
企業が運営する大規模なフリースクールは設備が充実している反面、月謝が高額になりがちです。一方で、地域密着型のNPO法人やボランティア団体が運営する施設は、比較的安価に設定されていることが多くあります。
中には、空き家を活用したりスタッフがボランティアで参加したりすることで、月額1万円程度で受け入れている場所も存在します。こうした施設は広告を出していないことも多いため、地域の不登校親の会などのネットワークで情報収集するのがコツです。
費用が安いからといって質が低いとは限りません。むしろ、地域の人々との温かい交流が、お子さんの心の回復に大きく寄与することもあります。広い視野で複数の団体を探してみることが、負担軽減への近道です。
オンライン型フリースクールという選択肢を検討する
「自宅から通える範囲に良いスクールがない」「交通費や月謝をできるだけ抑えたい」という場合には、オンライン型のフリースクールが非常に有力な選択肢となります。実店舗を持つ施設に比べ、施設維持費がかからない分、安価に設定されています。
オンライン型であれば、通学にかかる体力的な負担や交通費もゼロになります。パソコンやタブレットを通じて、全国の仲間と交流したり専門スタッフのサポートを受けたりできるため、対面でのコミュニケーションが苦手なお子さんにも向いています。
最近では、オンラインでの学習活動も出席扱いとして認められやすくなっています。デジタルの力を借りることで、経済的なハードルを下げながら、良質な教育環境を確保することが可能になります。
学力低下や進路が不安?学習面のデメリットを解消するコツ

「フリースクールでは勉強が遅れてしまうのではないか」という不安は、進学を控えたお子さんを持つ親御さんにとって切実です。学習面でのデメリットを補うための、具体的な学習設計について解説します。
「出席扱い制度」を活用して内申点の不安を取り除く
フリースクールでの活動を学校の出席としてカウントしてもらうための「出席扱い制度」は、進学時の内申点対策として非常に重要です。この制度を利用するには、学校長が「フリースクールでの活動が適切である」と判断する必要があります。
対策としては、まず学校側にフリースクールのパンフレットや活動計画書を提出し、どのような学びが行われているかを可視化することです。学校側も制度の詳細は把握していないことがあるため、保護者が橋渡し役となる姿勢が求められます。
出席扱いが認められれば、学校に行けていなくても「欠席」のカウントが止まります。これが精神的な安心感につながり、お子さんが焦ることなく自分のペースで学習に取り組める環境が整います。
ICT教材や通信教育を併用して基礎学力を維持する
フリースクールの中には、学習指導よりも「居場所」としての機能を重視する場所も多いです。そのため、受験対策などの本格的な学習が不足してしまうことがあります。このデメリットを埋めるのが、ICT教材(オンライン学習ツール)の活用です。
例えば、タブレット学習やオンライン家庭教師を併用することで、自分の学力レベルに合わせた「さかのぼり学習」が可能になります。フリースクールで心のエネルギーを蓄え、自宅で効率よく学習を進めるというハイブリッドなスタイルです。
最近のICT教材は、学習記録をデータとして残せるため、これを学校に提出することで出席扱いのエビデンス(根拠)として利用することもできます。無理に教科書を開くのではなく、アニメーションやゲーム要素のある教材から始めてみましょう。
進路指導が充実しているスクールを優先的に選ぶ
全てのフリースクールが進路指導に詳しいわけではありません。将来の高校受験や大学進学を見据えているのであれば、最初から「進路サポート」を売りにしているスクールを選ぶのが賢明な対策です。
進学に強いスクールでは、通信制高校との提携があったり、レポート作成のサポートを行っていたりします。また、不登校を経験した子供たちがどのような進路を辿ったかという過去のデータも豊富なため、親御さんの不安に対しても具体的なアドバイスをくれます。
入会前の面談で「過去の卒業生はどのような進路に進んでいますか?」と質問してみましょう。具体的な実績やサポート内容を答えてくれるスクールであれば、学習面のデメリットを大きくカバーしてくれるはずです。
社会性が育たない?人間関係の悩みに対する具体的なサポート

フリースクールは少人数であることが多く、人間関係が狭くなることを心配する声もあります。しかし、見方を変えれば、少人数だからこそ育める深い社会性も存在します。社会性のデメリットをどう強みに変えるかを考えましょう。
少人数環境のメリットを活かして対人不安を解消する
大人数の学校生活で傷ついたお子さんにとって、いきなり大きな集団に放り込まれるのは逆効果です。フリースクールの「少人数」というデメリットに見える特徴は、実は対人関係を再構築するための最適なリハビリ環境となります。
顔ぶれが固定されているからこそ、一人ひとりとじっくり向き合い、自分の意見を否定されずに伝える練習ができます。狭いコミュニティで「自分はここにいてもいいんだ」という自己肯定感を育むことが、将来広い社会へ出るための土台になります。
対策としては、最初から無理に友達を作ろうとせず、まずはスタッフという「信頼できる大人」との関係を築くことから始めましょう。大人のサポートがあれば、子供同士のトラブルも成長の糧に変えていくことができます。
地域のボランティアや学外イベントに親子で参加してみる
スクール内だけの交流に不安がある場合は、フリースクールが主催する「外の世界との接点」を積極的に利用しましょう。多くのスクールでは、地域の清掃活動、農業体験、ワークショップなど、外部の人と触れ合う機会を設けています。
こうした活動を通じて、年齢や立場の異なる多様な大人と関わることで、学校とは違った社会の広さを実感できます。学校という画一的な社会だけが全てではないと知ることは、お子さんの視野を広げる重要な対策になります。
また、保護者自身も地域のコミュニティに参加することで、親子で孤立するのを防ぐことができます。家庭以外の風通しを良くしておくことが、結果としてお子さんの社会性を健やかに育むことにつながります。
心理の専門家やカウンセラーが在籍する施設を選ぶ
人間関係の築き方に課題を感じているお子さんの場合、単に場所を提供するだけでなく、専門的なケアが必要です。カウンセラーやソーシャルワーカーが常駐、あるいは定期的に訪問しているフリースクールを選ぶことが有効な対策となります。
専門スタッフがいれば、子供同士のトラブルが起きた際にも、感情的にならずに双方の気持ちを汲み取った仲裁をしてくれます。また、お子さんの心の状態に合わせた段階的な交流を提案してくれるため、無理なくステップアップできます。
見学時には「トラブルが起きたとき、スタッフの方はどのように対応されますか?」と尋ねてみてください。具体的な対応方針を持っている施設であれば、人間関係での失敗を過度に恐れる必要はなくなります。
お子さんにぴったりのフリースクールを選ぶためのチェックポイント

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、入り口での見極めが肝心です。デメリットを最小限にし、メリットを最大限に享受するためのスクール選びの視点をお伝えします。
必ず複数回の体験入学を行い「居心地」を最優先にする
どんなに評判の良いフリースクールであっても、お子さん本人が「行きたくない」と感じてしまえば意味がありません。対策の基本は、1回だけの見学で決めず、2〜3回の体験入学を行ってから最終判断することです。
初日は緊張していても、数回通ううちに「ここでは自由に振る舞えそうか」「嫌なことがあったらスタッフに言えそうか」といった本音が子供の中に芽生えます。大人の目線での「良さ」ではなく、子供の肌感覚での「安心感」を最優先にしてください。
もし、体験の段階でお子さんが渋るようであれば、無理に契約を進めるのは避けましょう。時期を待つか、別のスクールを探す柔軟性を持つことが、長期的な安定につながります。
体験入学の際は、お子さんの表情だけでなく、帰宅後の様子や睡眠の状態も観察しましょう。少し疲れていても、どこか晴れやかな表情をしていれば、その場所は合っている可能性が高いです。
運営理念とスタッフの教育に対する姿勢をチェックする
フリースクールの雰囲気は、責任者やスタッフの考え方に強く反映されます。親御さんと運営側の教育観がズレていると、後々トラブルの元になります。面談では、運営理念を深く掘り下げて確認することが重要な対策です。
例えば、「勉強は一切しなくて良い」という方針のスクールに、親が「少しは勉強させてほしい」と期待して入ると、双方にストレスが溜まります。お互いの期待値を事前にすり合わせておくことが欠かせません。
また、スタッフが定期的に研修を受けているか、専門機関と連携しているかも確認しましょう。教育に対して真摯に向き合っているスタッフであれば、デメリットを補うための相談にも親身に乗ってくれるはずです。
在籍している学校との関係性を良好に保つ努力をする
フリースクール選びは「学校との付き合い方」を考えることでもあります。スクール側が学校と積極的に連携を取ってくれるかどうかは、卒業後の進路や出席扱いの認定に大きく関わります。
「うちは学校とは一切関わりません」という孤立したスタンスのスクールよりは、必要に応じて学校側と情報共有を行い、三者(家庭・学校・スクール)で子供を支える姿勢がある場所の方が安心です。
入会前に、学校の先生と一緒に見学へ行くという手もあります。学校側もフリースクールの実態を知ることで、不登校への理解が深まり、出席扱いの認定などもスムーズに進むようになります。自分たちだけで抱え込まず、味方を増やす工夫をしましょう。
フリースクールのデメリットを理解して前向きな対策を立てるためのまとめ
フリースクールには、経済的な負担や学習面の不安、法的な位置づけの不透明さといった、いくつかのデメリットがあるのは事実です。しかし、これらは決して乗り越えられない壁ではありません。
具体的な対策を振り返ると、まずは自治体の助成金制度を活用して費用を抑えること、そして出席扱い制度を利用して学校との連携を強めることが挙げられます。また、学習の遅れについてはICT教材を併用することで、お子さんのペースを守りながら補完することが可能です。
最も大切なのは、デメリットを恐れて選択肢を狭めることではなく、「お子さんにとっての安心できる居場所」を最優先に考えることです。事前のリサーチや体験入学を丁寧に行えば、フリースクールはお子さんが本来の自分を取り戻すための、かけがえのない場所になり得ます。
不安なことがあれば、一人で悩まずにスクールのスタッフや自治体の相談窓口に頼ってください。適切な対策を一つずつ講じていくことで、不登校という経験を、親子で新しい未来を築くためのステップに変えていきましょう。お子さんにぴったりの学び場が見つかることを心から応援しています。


