学校を休んでいる期間があると、英語の授業に置いていかれることへの不安を感じるものです。英語は「積み上げの科目」と言われるため、一度つまずくと「どこから手をつければいいのかわからない」と悩んでしまうのは当然のことでしょう。
しかし、英語は何歳からでも、自分のペースで基礎からやり直すことが可能です。むしろ、学校の進度を気にしなくてよい今だからこそ、自分の苦手な部分をじっくりと克服するチャンスとも言えます。無理に急ぐ必要はありません。
この記事では、不登校の状態から英語を基礎からやり直したい方に向けて、具体的な勉強法や教材の選び方、心の持ち方を詳しく解説します。少しずつ「わかった!」という感覚を積み重ねて、英語への苦手意識を自信に変えていきましょう。
不登校の不安を解消!英語を基礎からやり直すための大切な心構え

英語の勉強を再開しようと思ったとき、一番大切なのは勉強法そのものよりも「心の持ち方」です。焦りや不安が強いと、学習を継続することが難しくなってしまいます。まずは、今の自分を認めてあげることから始めましょう。
英語は「積み上げ」の科目だからこそ戻って学べばいい
英語は、数学と同じように「積み上げ型」の科目です。中学1年生で習う基礎が理解できていないと、中学2年生や3年生の内容を理解するのは非常に困難です。そのため、今の学年に関わらず「わからなくなった場所」まで戻って学習することが、最も効率的な近道となります。
不登校の期間に習うはずだった単元を飛ばして、今の学校の進度に合わせようとすると、理解できないことが増えてしまい、さらに英語が嫌いになってしまう悪循環に陥ります。まずは「中1の最初からやり直す」という潔い決断が、後の大きな成長に繋がります。
前の学年の教科書を開くことに抵抗を感じる必要はありません。基礎を固めることは恥ずかしいことではなく、むしろ最短距離で力をつけるための賢い選択です。土台がしっかりしていれば、その後の学習スピードは驚くほど加速していきます。
「完璧主義」を捨てて6割の理解を目指す
英語をやり直す際、最初からすべての単語や文法を完璧に覚えようとすると、すぐに息切れしてしまいます。「100点満点を取らなければいけない」というプレッシャーは、学習を妨げる大きな原因になります。まずは全体の6割程度が理解できれば次に進むという、ゆるやかな姿勢で取り組みましょう。
例えば、単語も一度で覚えようとするのではなく、何度も繰り返し目にすることで自然と記憶に定着させていくのが理想的です。文法も、細かいルールを暗記するより先に「なんとなくこういう意味かな」とイメージを掴むことを優先してください。
一度学習した範囲は、後で何度も復習することになります。そのたびに理解度が深まっていくものなので、最初は「大体わかった」くらいの感覚で進めていくのが、挫折せずに継続するためのコツです。自分に厳しくしすぎず、小さな前進を喜びましょう。
誰とも比べず自分の「現在地」を知ることから始める
学校に通っている同級生が今どこを勉強しているか、どのくらい英語を話せるかといった情報は、今のあなたには関係ありません。学習において最も大切なのは、他人との比較ではなく「昨日の自分」よりも一歩前進することです。周囲の目は気にせず、自分のペースを大切にしてください。
まずは、自分がどこまで理解できていて、どこからわからなくなっているのかを客観的に把握しましょう。アルファベットは書けるか、be動詞の意味は言えるか、といった簡単なチェックから始めます。現在地が明確になれば、次に何をすべきかが自然と見えてきます。
不登校の時期は、心身のエネルギーを回復させることが最優先です。勉強を始める準備ができた自分を、まずはたくさん褒めてあげてください。自分の心地よいペースで学習を進める権利は、誰にでもあるのです。
英語を基礎からやり直し始める際にまず取り組むべき3つのポイント

英語のやり直しを決めたら、具体的にどこから手をつければよいのでしょうか。ここでは、基礎の基礎となる「これだけは外せない」という3つのステップを紹介します。ここを固めるだけで、その後の学習がぐっと楽になります。
アルファベットの読み書きとフォニックスをマスターする
「アルファベットなんて書ける」と思っている方でも、意外と見落としがちなのが「フォニックス」です。フォニックスとは、綴りと発音のルールのことです。例えば「A」を「エー」と読むだけでなく、単語の中では「ア」に近い音で発音するといった法則を指します。
フォニックスを理解すると、初めて見る英単語でも正しく読めるようになり、耳で聞いた音をスペルに書き起こすことができるようになります。これができると、単語暗記の苦労が半分以下になります。文字と音が一致することは、英語学習において非常に強力な武器になります。
アルファベットの小文字が混同しやすい場合(bとdなど)も、今のうちにしっかりと修正しておきましょう。基礎を疎かにせず、動画サイトなどで発音の動画を見ながら、正しい音と形をセットで身につけていくことが、英語の楽しさを知る入り口になります。
中学1年生の最初の文法「be動詞」と「一般動詞」の違いを理解する
英語学習の最初の大きな壁は、「be動詞(am, is, are)」と「一般動詞(play, go, eatなど)」の使い分けです。ここを曖昧にしたまま進むと、その後の疑問文や否定文の作り方で必ず混乱が生じます。この違いを完璧に理解することが、中学英語を攻略するポイントです。
be動詞は「イコール(=)」の関係を表すもので、「私は学生です(I = a student)」のように主語の状態を説明します。対して一般動詞は、「走る」「食べる」といった動作を表します。この2種類が同じ文章の中で、動詞として並んで使われることは基本的にありません(進行形などを除く)。
この根本的なルールを理解するだけで、多くのミスを防ぐことができます。まずは簡単な例文をいくつか作り、どちらの動詞を使うべきかを判断する練習を繰り返しましょう。ここがクリアできれば、中学レベルの文法の半分を理解したと言っても過言ではありません。
英単語は「見て・聴いて・発音する」をセットで覚える
英単語を覚えるとき、ひたすらノートに書き殴る勉強法はおすすめしません。手は動いていても、頭に入っていないことが多いからです。最も効率的なのは、目と耳と口をフル活用して覚える方法です。五感を刺激することで、記憶の定着率は格段にアップします。
具体的には、まず単語の音声を確認して、その後に自分で発音しながらスペルを確認します。意味をイメージしながら何度も口に出すことが大切です。また、単語だけで覚えるのではなく、短いフレーズ(例えば eat an apple)で覚えると、使い方も一緒に身につきます。
一度にたくさん覚えようとせず、1日5個から10個程度に絞って取り組んでみましょう。覚えたつもりでも翌日には忘れているものですが、それで落ち込む必要はありません。忘れては覚え直す、その繰り返しこそが脳を鍛える訓練になります。
最初は「Apple」や「Dog」など、すでに知っている簡単な単語から始めて、英語のリズムに慣れることからスタートしましょう。
自宅で無理なく進める!不登校の方におすすめの英語教材とツール

不登校の期間は、自分の好きな教材を自由に選べるメリットがあります。学校で配られた教科書が難しく感じる場合は、思い切って自分に合った市販の教材やアプリを取り入れてみましょう。最近は、独学をサポートする素晴らしいツールがたくさんあります。
イラストが多く解説が丁寧な参考書を選ぶ
基礎からのやり直しには、文字ばかりの参考書ではなく、イラストや図解が豊富なものを選びましょう。視覚的な情報が多いと、抽象的な文法ルールも直感的に理解しやすくなります。特におすすめなのは「中1英語をひとつひとつわかりやすく。」のような、基礎に特化したシリーズです。
これらの参考書は、1つの項目が短くまとめられており、不登校で学習習慣が途切れてしまった人でも負担なく進められるように設計されています。説明を読んだらすぐに簡単な練習問題を解く形式になっているため、「その場ですぐに理解できた」という成功体験を得やすいのが特徴です。
本屋さんに行って、実際に中身を見て「これなら読み進められそう」と感じるものを選んでください。厚すぎる参考書は威圧感を与えてしまうので、まずは薄めの1冊を最後まで終わらせることを目標にすると、達成感を味わいやすくなります。
ゲーム感覚で学べる学習アプリを活用する
机に向かって勉強するのが辛いときは、スマートフォンのアプリを活用しましょう。特に「Duolingo(デュオリンゴ)」などのアプリは、ゲームのようにステージをクリアしながら、リスニング、リーディング、スピーキングをバランスよく学ぶことができます。
アプリ学習の最大のメリットは、スキマ時間にできることと、正解したときに褒めてもらえる仕組みがあることです。1日わずか数分のプレイでも、毎日続けることで英語に触れる習慣が定着します。間違えても何度でもやり直せるため、失敗を恐れずに挑戦できる点も不登校の方に適しています。
他にも、単語学習に特化した「mikan」や、NHKのラジオ講座を聴けるアプリなども非常に役立ちます。教科書を開くのが億劫な日でも、アプリならベッドの上で少しだけ取り組むことができます。無理のない範囲で、デジタルツールを味方につけましょう。
動画配信サイトやオンライン授業で「音」から学ぶ
文字を追うのが疲れるときは、YouTubeなどの動画配信サイトで英語を解説している動画を活用しましょう。現在、多くの教育系YouTuberが、中学英語を非常にわかりやすく面白く解説しています。講師の顔が見え、声で説明されることで、1人で本を読むよりも内容が頭に入ってきやすくなります。
また、もう少し本格的に学びたい場合は、スタディサプリのようなオンライン授業サービスも有効です。一流講師の授業を自分の好きなタイミングで、何度でも繰り返し視聴できます。学校の授業のように聞き逃す心配がなく、一時停止しながら自分のペースでメモを取れるのが大きな強みです。
動画での学習は、正しい発音を同時に学べるというメリットもあります。耳から入る情報は記憶に残りやすく、リスニング対策にもなります。まずはエンターテインメントとして英語の動画を楽しむくらいの気持ちで、画面を眺めてみることから始めてみましょう。
【おすすめの教材・ツールの特徴比較】
| 種類 | メリット | おすすめの人 |
|---|---|---|
| 参考書 | 書き込みながらじっくり理解できる | 自分の手で書いて覚えたい人 |
| 学習アプリ | ゲーム感覚で手軽に継続できる | 勉強の習慣化が苦手な人 |
| 動画授業 | プロの解説でポイントが明確になる | 本を読むのが苦手な人 |
英語のやり直しを継続させるための環境づくりとモチベーション維持

勉強を始めたばかりの頃はやる気がありますが、それを継続させるのは簡単なことではありません。特に不登校の時期は、気持ちの波が大きくなりがちです。やる気に頼るのではなく、自然と勉強が続くような「仕組み」と「環境」を整えていきましょう。
1日5分から!小さな目標を設定して達成感を味わう
最初から「毎日1時間勉強する」といった高い目標を掲げるのは禁物です。まずは「1日5分だけ教科書を開く」「単語を3つだけ覚える」といった、どんなに体調が悪くても達成できる小さな目標を設定しましょう。これを「スモールステップ」と呼びます。
小さな目標でも、達成できれば「自分は約束を守れた」という自己肯定感に繋がります。もし5分やってみて、まだできそうなら10分、20分と延ばしていけばいいのです。逆に、どうしてもやる気が出ない日は5分だけで終わらせても構いません。大切なのは「ゼロにしないこと」です。
カレンダーに、勉強できた日をチェックしていくのも良い方法です。視覚的に頑張りが積み重なっているのを見ると、「今日も続けよう」という気持ちになりやすいものです。大きな成果を急がず、毎日の小さな「できた」を大切に積み上げていきましょう。
フリースクールやオンライン家庭教師などのサポートを利用する
1人で勉強し続けるのが難しいと感じたら、外部のサポートを頼るのも一つの手です。フリースクールでは、個々の学習ペースに合わせて指導してくれるところが多く、勉強以外のコミュニケーションも通じて孤独感を和らげることができます。
外出が難しい場合は、不登校専門のオンライン家庭教師や、不登校経験のある講師が在籍する個別指導サービスを検討してみましょう。画面越しであれば緊張しすぎず、自分の部屋という安心できる環境でプロのサポートを受けられます。わからないところをすぐに質問できる環境は、学習効率を飛躍的に高めます。
また、サポートを受けることで「誰かと約束しているから頑張ろう」という程よい強制力が働くようになります。自分の心の状態を理解してくれる支援者に出会うことは、英語の学習だけでなく、心の回復にとっても大きな助けになるでしょう。
勉強する場所や時間を固定せず柔軟に変えてみる
「勉強は必ず机の上でしなければならない」という思い込みは捨ててしまいましょう。自分の部屋で集中できないときは、リビングのソファでリラックスしながらでも構いません。場所を変えることで脳が刺激され、集中力が増すこともあります。
時間についても同様です。午前中が苦手なら、夜に少しだけ取り組むのでも十分です。不登校の時期は生活リズムが崩れやすいですが、無理に正そうとしてストレスを溜めるより、今の自分のバイオリズムに合わせて学習時間を設定するほうが長続きします。
また、お気に入りの飲み物を用意したり、好きな音楽をBGMにしたりして、勉強の時間を「心地よい時間」にする工夫をしてみてください。英語の勉強が苦行ではなく、自分を育てる楽しい時間だと思えるようになれば、モチベーションは自然と湧いてくるようになります。
将来の目標に合わせた英語のステップアップ方法

基礎がある程度固まってきたら、少しずつ「先の目標」を意識してみましょう。英語をやり直したその先に何があるのかをイメージできると、学習への意欲がさらに高まります。ここでは、不登校の方でも目指しやすい具体的な目標設定について解説します。
英検(実用英語技能検定)を目標にして成功体験を作る
英語のやり直しにおいて、最もおすすめの目標が「英検」です。英検には5級から1級まで細かくレベルが分かれており、自分の今の実力に合った級から挑戦できます。まずは中学初級レベルの5級や4級からスタートし、「合格」という形に見える成果を得ることは大きな自信になります。
試験対策をすることで、これまでバラバラだった知識が整理され、総合的な英語力が身につきます。また、英検の資格は、将来の高校入試や高卒認定試験、大学受験においても評価されることが多く、持っていて損のない資格です。
試験会場に行くのが不安な場合は、S-CBTというパソコンで受験できる形式もあります。これは1日で全試験が完了し、スピーキングテストもマイクに向かって話す形式のため、対面での面接に抵抗がある方でも受けやすいのが特徴です。自分のペースで挑戦を続けてみましょう。
高校入試や高卒認定試験に向けた対策を立てる
将来、進学を考えている場合は、高校入試や高卒認定試験(高認)を見据えた学習が必要になります。どちらの試験も、実は中学レベルの基礎英語がしっかりとできていれば、十分に合格点を取ることが可能です。背伸びをして難しい問題集を解くよりも、基礎の徹底が合格への鍵となります。
高卒認定試験の英語は、基礎的な単語と基本的な文法が問われる傾向が強いため、しっかりと対策を行えば独学でも突破できます。また、通信制高校や全日制高校への進学を希望する場合も、中学1・2年生の内容をマスターしていれば、入学後の授業にスムーズについていくことができます。
「自分には無理だ」と諦める前に、まずは過去問を眺めてみてください。今の自分がどのくらい解けるのか、あと何ができるようになれば合格点に届くのかを把握することで、漠然とした不安が具体的な課題へと変わります。
自分の好きなこと(音楽・アニメなど)と英語を繋げてみる
勉強としての英語だけでなく、「楽しみとしての英語」も生活に取り入れてみましょう。例えば、好きな海外アーティストの歌詞の意味を調べてみる、好きなアニメの英語版を視聴してみる、といった活動です。これらは、机の上の勉強以上に生きた英語を学ぶ機会になります。
自分の興味がある分野であれば、難しい単語でも意欲的に調べようと思えます。自分が好きなものを通じて英語に触れることで、「英語はただの教科ではなく、世界を広げるツールなんだ」という実感を持てるようになります。この実感こそが、長期的な学習の原動力となります。
英語は、理解できるようになると世界中の情報にアクセスできるようになる素晴らしい道具です。不登校という時間を活用して、自分の好きなことと英語をかけ合わせて、あなただけの楽しみ方を見つけてください。英語ができるようになることで、選べる未来の選択肢は確実に広がります。
SNSで海外の同世代のアカウントをフォローしたり、英語でのコメントに挑戦してみるのも良い刺激になります。間違いを気にせず、コミュニケーションを楽しんでみましょう。
不登校からの英語のやり直しは自分のペースで未来を拓くまとめ
不登校の時期に英語を基礎からやり直すことは、決して遅すぎることはありません。むしろ、じっくりと自分の弱点に向き合い、着実に土台を固めるための絶好の機会です。大切なのは、焦らず、他人と比べず、自分に合った方法で一歩ずつ進んでいくことです。
まずは「アルファベットとフォニックス」から始め、中学1年生の基礎文法を丁寧に理解していくことからスタートしましょう。完璧を目指さず、1日5分の積み重ねを大切にすることで、少しずつ自信が湧いてくるはずです。
便利なアプリや分かりやすい動画教材、そして時には外部のサポートも活用しながら、英語を学ぶ楽しさを少しずつ取り戻していきましょう。英語ができるようになることは、あなたの可能性を広げ、将来への大きな力となります。今の努力は、必ずあなたの未来を助けてくれるはずです。




