中学校で不登校や別室登校が続くと、通知表の評価がつかずに「内申点が0点に近い状態」になってしまうことがあります。多くの保護者様や受験生本人が「内申点がないと、行ける高校なんてないのではないか」と強い不安を感じているはずです。
しかし、結論からお伝えすると、内申点 0点からの高校受験でも、進学できる道は数多く残されています。現在の入試制度では、様々な事情を抱える生徒のために、内申点を重視しない選抜枠や、学力試験の結果を最優先する仕組みが整えられています。
この記事では、内申点が0点の状態からどのように志望校を選び、対策を進めればよいのかを詳しく解説します。お子様の将来に向けた一歩を踏み出すための参考にしてください。
内申点 0点からの高校受験で知っておきたい現状と仕組み

まずは、内申点が0点、あるいは極めて低い状態が受験にどのような影響を与えるのか、その仕組みを正しく理解しましょう。仕組みを知ることで、過度な不安を解消し、現実的な対策を立てることができます。
内申点が0点になる理由と調査書への影響
中学校の成績表(通知表)に記載される評定は、定期テストの点数だけでなく、授業への出席日数や提出物、授業態度などが総合的に判断されます。そのため、長期間学校を欠席していると、評価の対象となるデータがないため、評定が「1」や、場合によっては評価不能を意味する「斜線」となることがあります。
高校受験で提出される「調査書(内申書)」は、合否判定の大きな要素となります。全日制の公立高校では、一般的に「当日点(学力検査)」と「調査書点(内申点)」の合計で合否が決まるため、内申点が0点に近いと、その分を学力検査で大幅にカバーする必要が出てきます。
ただし、内申点が低いからといって、受験資格そのものが失われるわけではありません。まずは、志望する自治体や私立高校が「内申点をどの程度重視しているか」を正確に把握することがスタートラインとなります。
公立高校入試における「斜線」や「特例」の扱い
都道府県によりますが、公立高校入試では不登校などの事情で内申点がつかない生徒に対し、特別な配慮を行っているケースがあります。例えば、東京都の都立高校入試では、評定がつけられない教科がある場合に「斜線措置」という仕組みが適用されることがあります。
これは、内申点がつけられない理由がある場合に、学力検査の得点などから調査書点を算出するなどの補完措置です。また、多くの自治体では、学力検査の点数のみで合否を判定する「特別選抜枠」や、内申点の比率を低く設定している学校が存在します。
こうした特例を知っているかどうかで、受験の戦略は大きく変わります。お住まいの地域の教育委員会が発行している「入学者選抜実施要綱」を確認したり、担任の先生に具体的な措置の有無を相談したりすることが大切です。
私立高校での内申点の重要性と一般入試の可能性
私立高校入試には、主に「推薦入試」と「一般入試」の2種類があります。推薦入試(単願推薦・併願優遇など)の多くは、内申点に出願基準を設けているため、内申点が0点の状態では利用できないことがほとんどです。
一方で、一般入試(オープン入試)では、当日の試験結果を最重視して合否を決める学校が多くあります。内申点はある程度参考にされますが、当日のテストで合格最低点を上回れば、内申点が低くても合格できるチャンスは十分にあります。
私立高校は学校ごとに方針が大きく異なるため、説明会や個別相談会で「内申点が厳しい状況だが、当日の試験でどの程度得点すれば合格できるか」を直接確認してみるのが最も確実な方法です。
内申点がなくても進学できる高校の種類と特徴

内申点が0点、あるいは極めて低い場合でも、受け入れ体制が整っている高校は実はたくさんあります。ここでは、代表的な3つの選択肢をご紹介します。それぞれの特徴を比較し、お子様に合った環境を探してみましょう。
通信制高校:内申点よりも個性や意欲を重視
通信制高校は、内申点や欠席日数をほとんど問われない学校が非常に多いのが特徴です。入試の内容も、書類選考と面接、簡単な作文のみというケースが一般的で、学力試験を課さない学校も珍しくありません。
「毎日学校に通うのが難しい」「自分のペースで勉強したい」という生徒にとって、非常に柔軟な選択肢となります。最近では、ITや芸術、スポーツなどの専門コースを設けている学校も増えており、自分の好きなことに没頭しながら高卒資格を目指すことができます。
内申点という「過去の評価」ではなく、「これから何をしたいか」という未来の意欲を見てくれるため、自信を失いかけている不登校の生徒にとって、新たなスタートを切るための適した場所と言えるでしょう。
定時制高校・チャレンジスクール:多様な背景を持つ生徒を歓迎
定時制高校は、昼間だけでなく夜間や三部制(午前・午後・夜間)といった多様な登校スタイルを選べる公立・私立の学校です。不登校経験者や、一度高校を退学した生徒などが多く通っており、内申点に対する配慮が手厚い傾向にあります。
特に、東京都の「チャレンジスクール」や神奈川県の「クリエイティブスクール」のように、不登校や中退の経験を持つ生徒を対象とした公立高校があります。これらの学校では、内申点を含む調査書の提出を求めず、面接や作文、実技試験などで合否を判定する仕組みになっています。
「公立高校に通いたいけれど、内申点が足りない」という場合には、こうした特別な仕組みを持つ学校を候補に入れるのが現実的です。同じような悩みを持つ仲間に出会いやすい環境も魅力の一つです。
私立高校の一般入試:当日の試験結果で勝負できる
全日制の私立高校を希望する場合、一般入試での「当日の得点重視」の学校を狙うのが基本戦略となります。偏差値の高い進学校であっても、一般入試であれば内申点の比重が極めて低く設定されている場合があります。
こうした学校では、内申点が0点であっても、試験本番で合格ラインをしっかりと超える得点を叩き出せば、合格を勝ち取ることが可能です。いわゆる「実力勝負」の世界です。
ただし、併願優遇(滑り止め制度)が使えないため、不合格のリスクを考えて複数の学校をバランスよく受験する必要があります。過去問を解いてみて、今の自分の学力でどこまで通用するかをシミュレーションしてみましょう。
【高校の種類と内申点の関係(目安)】
| 高校の種類 | 内申点の重要度 | 主な選抜方法 |
|---|---|---|
| 通信制高校 | 極めて低い | 書類・面接・作文 |
| 定時制(三部制など) | 低い | 面接・作文・小テスト |
| 公立(一般枠) | 高い | 学力検査 + 調査書 |
| 私立(一般入試) | 中〜低 | 当日の学力検査重視 |
不登校・別室登校の生徒が利用できる特別な配慮

内申点 0点からの高校受験を有利に進めるためには、制度としての「配慮」を最大限に活用することが重要です。学校や自治体が用意している救済措置を漏れなくチェックしましょう。
「不登校枠(特別選抜)」を活用した受験方法
多くの都道府県では、不登校の生徒を対象とした「特別選抜」や「自己申告制度」を設けています。これは、一定以上の欠席日数がある生徒に対し、通常の選抜枠とは別枠で合否を判定したり、内申点の比率を大幅に下げたりする制度です。
この枠を利用することで、学校に通えなかったという不利を最小限に抑え、当日の試験や面接での評価を優先してもらえます。適用条件には「欠席日数が年間30日以上」などの基準があるため、早めに確認しておきましょう。
また、これらの制度を利用するには、中学校からの証明書や申請書類が必要になることが多いため、担任の先生や進路指導の先生との情報共有が欠かせません。
自己申告書の提出で欠席理由や事情を伝える
公立高校入試において、「自己申告書」の提出が認められている場合があります。これは、本人が「なぜ欠席が続いていたのか」「現在はどのような意欲を持っているか」を文章で伝えるための書類です。
内申点が0点であるという結果だけを見ると、高校側には「学習意欲がない」と誤解される恐れがあります。しかし、自己申告書を通じて、病気や家庭の事情、対人関係の悩みなど、やむを得ない理由があったことを説明すれば、考慮の対象になることがあります。
また、不登校の時期に自分でどのように勉強していたか、フリースクールでどんな活動をしていたかといったポジティブな要素をアピールすることも、評価を補う材料になります。
適応指導教室やフリースクールの出席扱いについて
中学校には登校していなくても、市町村が設置する「適応指導教室」や民間の「フリースクール」に通っている場合、そこでの活動が学校の「出席」として認められる制度があります。
この制度が適用されると、通知表に「欠席」と記載されず、出席日数を確保できるため、内申点に良い影響を与える可能性があります。ただし、これには校長先生の判断や一定の条件が必要です。
もし現在、外部の施設を利用している場合は、その活動を学校の出席扱いにできないか、一度相談してみる価値は十分にあります。出席扱いになれば、それだけで高校受験の選択肢がぐっと広がります。
不登校は「休んでいる期間」ではなく、次のステップへ進むための「準備期間」と捉えることができます。利用できる制度はすべて使い、一歩ずつ前に進みましょう。
内申点 0点から学力試験で逆転するための勉強ステップ

内申点のハンデを跳ね返すためには、本番の試験で高得点を取ることが不可欠です。限られた時間で効率よく得点力を上げるための勉強法をご紹介します。
中学3年間の基礎を「3教科」に絞って固める
内申点が低い状態からの逆転を狙うなら、まずは「英語・数学・国語」の3教科を重点的に対策しましょう。多くの私立高校の一般入試はこの3教科で実施されますし、公立高校でもこの3つが配点の核となります。
不登校の期間が長く、どこから手をつけていいかわからない場合は、思い切って中学1年生の内容、あるいは小学校の高学年レベルまで遡ることが大切です。基礎が抜けたまま応用問題に取り組んでも、時間だけが過ぎてしまい成果が出にくいからです。
基礎を固めるだけでも、入試の基本問題で確実に点数を拾えるようになります。まずは「基本レベルの計算」「英単語・文法」「漢字・語彙」の3点に絞り、毎日少しずつでも継続することを目指しましょう。
過去問演習で出題傾向と時間配分を把握する
ある程度の基礎が身についてきたら、早めに志望校の過去問に取り組みましょう。内申点が0点の場合、当日の得点にミスは許されません。その学校がどのような形式で出題し、どの分野を重視しているかを知ることが合格の鍵となります。
例えば、記述問題が多い学校もあれば、選択式がメインの学校もあります。自分の得意な形式を見極めることで、自分に有利な学校を選ぶことも戦略の一つです。また、試験時間を計って解く練習を繰り返し、時間配分を体に染み込ませましょう。
1回目は点数が取れなくても気にする必要はありません。間違えた箇所を「なぜ間違えたのか」分析し、同じパターンの問題で正解できるよう復習することが、最も効率的な得点アップ術です。
オンライン教材や個別指導を賢く活用する
不登校の生徒にとって、大人数の集団塾に通うのは精神的なハードルが高い場合もあります。そんな時は、タブレット学習などのオンライン教材や、1対1の個別指導、家庭教師を活用するのが効果的です。
オンライン教材は、周囲の目を気にせず自分のペースで進められますし、わからない箇所を何度でも動画で確認できます。また、不登校支援に詳しい個別指導であれば、メンタル面のケアを含めて、今の学力に合わせたカリキュラムを組んでくれます。
特に内申点対策が難しい状況では、プロのアドバイスを受けながら「どの単元を捨てるか、どの単元で稼ぐか」といった受験戦略を練ることが、限られた時間での逆転合格を現実的なものにします。
保護者ができる環境づくりとメンタル面の支え

内申点 0点からの高校受験は、お子様本人にとって非常にプレッシャーが大きいものです。保護者様がどっしりと構え、サポート役に徹することが、最終的な合格を引き寄せます。
子どもの不安に寄り添い「第2の選択肢」を用意する
不登校の生徒が受験に立ち向かうとき、最も恐れているのは「どこにも行ける学校がない」「また失敗してしまう」という全否定されるような恐怖です。このプレッシャーを和らげるために、必ず複数の進路プランを用意しておきましょう。
「たとえ第一志望がダメでも、ここなら内申点に関係なく受け入れてくれる」「通信制高校なら自分の好きなペースで学べる」といった安心感のある選択肢を提示することで、お子様は精神的な余裕を持って受験勉強に取り組めるようになります。
「何が何でもこの学校に行かなければならない」と追い詰めるのではなく、「あなたに合った場所は必ずあるから大丈夫」というメッセージを伝え続けることが、本番での実力発揮に繋がります。
学校の先生や外部の相談機関と密に連携する
内申点が低いからといって、中学校との関係を断ってしまうのは得策ではありません。入試制度の最新情報や不登校枠の申請には、中学校の協力が不可欠です。たとえ教室に行けなくても、保護者様が学校と連絡を取り合い、情報を共有するパイプを保っておきましょう。
また、スクールカウンセラーや教育支援センター(適応指導教室)、フリースクールなどの専門家にも相談してみてください。彼らは不登校からの進学事例を数多く知っており、経験に基づいた具体的なアドバイスをくれます。
一人で抱え込むと、不安ばかりが膨らんでしまいます。専門的な知見を持つ「味方」を増やすことで、保護者様自身のストレスも軽減され、より冷静な判断ができるようになります。
「内申点」以外の強みを見つけて自信に繋げる
内申点は「学校という枠組み」の中での評価に過ぎません。そこでの評価が低くても、お子様には必ず別の強みがあります。プログラミングができる、絵が得意、本をたくさん読んでいる、あるいは思いやりがあるといった人間的な魅力など、何でも構いません。
受験勉強が辛くなったとき、「あなたは学校には行けていなかったけれど、これだけはすごいよね」という声かけが、折れそうな心を支えます。自己肯定感が上がると、勉強に対する意欲も自然と湧いてきやすくなります。
高校は、中学校に比べて多様な場所です。特定の強みを持つ生徒を歓迎する学校も多いため、内申点という一つの物差しだけでお子様を判断せず、その子の個性が輝く場所を一緒に探してあげてください。
【保護者のためのチェックリスト】
・地域の「不登校枠」や「自己申告書」の制度を調べたか
・内申点を問わない「滑り止め」の学校を見つけているか
・学校や外部機関と、定期的に情報交換をしているか
・勉強の結果だけでなく、本人の努力や過程を褒めているか
まとめ:内申点0点からの高校受験で希望の進路を掴もう
「内申点 0点からの高校受験」は、決して不可能な挑戦ではありません。確かに、従来の全日制公立高校の一般枠だけを見ると厳しい現実はありますが、今の教育現場には多様な背景を持つ生徒を受け入れるための仕組みがしっかりと整っています。
大切なのは、まず「内申点がなくても行ける学校はある」という事実を親子で共有し、必要以上に自分たちを追い詰めないことです。通信制高校やチャレンジスクール、私立の一般入試など、内申点という過去の評価に縛られずに挑戦できる道は必ず見つかります。
まずは地域の情報を集め、利用できる特別な措置がないかを確認することから始めてみてください。そして、お子様のペースを尊重しながら、少しずつ基礎的な学力を積み上げていきましょう。内申点が0点だったとしても、それはお子様の将来を決定づけるものではありません。自分らしく学べる場所を見つけ、新しい生活への第一歩を踏み出せるよう応援しています。



