フリースクールに通っているお子さんを持つ保護者の方にとって、最も気になることの一つが「卒業後の進路」ではないでしょうか。学校復帰を前提とするのか、それとも別の道を歩むのか、将来への不安を感じるのは自然なことです。
現在、フリースクール卒業後の進路は非常に多岐にわたっています。通信制高校や全日制高校への進学はもちろん、大学進学や就職など、一人ひとりの特性に合わせた多様な選択肢が広がっています。本記事では、具体的な進路のパターンや、希望する道を実現するための準備について分かりやすく解説します。
お子さんのペースを大切にしながら、納得のいく未来を選ぶためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。フリースクールでの経験が、どのように次のステップへつながっていくのか、その全体像を一緒に見ていきましょう。
フリースクール卒業後の進路における代表的な選択肢

フリースクールを卒業した後の進路は、お子さんの年齢や状況によって異なりますが、決して「道が閉ざされている」わけではありません。むしろ、フリースクールで自分らしく過ごす時間を経たことで、自分に合った環境を慎重に選ぶ力が養われるケースも多く見られます。
まずは、中等部や高等部を卒業した後に、どのような進路を選ぶ人が多いのか、その代表的なパターンを確認しておきましょう。進路の選択肢を知ることは、将来への漠然とした不安を解消する第一歩となります。
中学校から全日制・通信制高校への進学
フリースクールの中等部に通っている場合、卒業後の最も一般的な進路は高校進学です。一口に高校と言っても、そのスタイルは様々です。毎日登校してクラスメートと過ごす全日制高校、夜間や夕方に授業が行われる定時制高校、そして自分のペースで学習を進められる通信制高校があります。
最近では、不登校を経験した生徒を積極的に受け入れている私立高校や、登校頻度を自由に選べる通信制高校が増えています。そのため、「毎日通うのはまだ不安だけれど、勉強は続けたい」というお子さんにとって、通信制高校は非常に有力な選択肢となっています。フリースクールでの活動を続けながら、通信制高校のレポート作成に取り組むという形も珍しくありません。
また、全日制高校への進学を希望する場合も、不登校枠などの特別入試制度を設けている自治体があります。フリースクールで内申点に代わる評価を得る工夫をすることで、進学の可能性を広げることが可能です。
高校年代から大学・短大・専門学校への挑戦
フリースクールの高等部や、フリースクールと提携している通信制高校を卒業した後は、高等教育機関への進学を目指す人が多くいます。大学、短期大学、専門学校など、自分の興味関心に合わせて専門的な学びを深める道です。これまでは「不登校だと大学入試で不利になるのではないか」という懸念もありましたが、現在は入試形態が多様化しています。
具体的には、学力試験だけでなく、これまでの活動実績や意欲を評価する「総合型選抜(旧AO入試)」を活用する受験生が増えています。フリースクールで取り組んだプロジェクト活動や、自主的な学びのプロセスは、自己PRの強力な材料になります。自分の得意分野を活かして、難関大学に合格する例も少なくありません。
専門学校については、デザイン、IT、調理、福祉など、将来の仕事に直結するスキルを学べる点が魅力です。少人数制でアットホームな雰囲気の学校も多く、フリースクールでの過ごし方に近い環境で学べる場合もあります。お子さんが「これを学びたい」と思える分野が見つかれば、それが大きなモチベーションとなるでしょう。
就職やアルバイトを通じた社会参加
進学という道を選ばず、直接社会に出ることを選択する人もいます。アルバイトから始めて社会経験を積んだり、正社員として就職したりするケースです。フリースクールの中には、企業と連携して職場体験やインターンシップを積極的に行っているところもあり、実社会との接点を持ちやすい環境が整っている場合もあります。
就職を目指す際には、ハローワークや「地域若者サポートステーション(通称サポステ)」などの外部機関を活用することも有効です。こうした機関では、コミュニケーションに不安がある方や、働くことに自信が持てない方に対して、専門のアドバイザーが個別に相談に乗ってくれます。スモールステップで社会とのつながりを作っていくことが可能です。
また、近年ではパソコンを使った在宅ワークなど、働き方の選択肢も増えています。フリースクールでプログラミングやイラスト制作などのスキルを磨き、若いうちからフリーランスとして活動を始める人もいます。必ずしも「毎日会社に通う」というスタイルだけが自立の形ではないことを、親子で共有しておくと選択肢が広がります。
海外留学やボランティアという道
日本の学校制度の枠にとらわれず、海外へ目を向けるという選択肢もあります。語学留学や海外の高校・大学への進学、あるいは国際ボランティアへの参加などです。環境を大きく変えることで、これまでの自分とは異なる視点を持ち、自信を取り戻すきっかけになることがあります。
不登校を経験したお子さんの中には、日本の「みんなと同じでなければならない」という同調圧力に息苦しさを感じていた子も少なくありません。海外の多様な価値観に触れることで、「自分は自分のままでいいんだ」と肯定感を持てるようになるケースもあります。留学支援を行っているフリースクールもあり、事前の準備から現地でのサポートまで受けられることもあります。
もちろん、いきなりの長期留学はハードルが高いかもしれませんが、まずは短期の海外体験プログラムから始めてみるのも一つの手です。ボランティア活動を通じて「誰かの役に立っている」という実感を得ることは、次のステップへ進むための大きなエネルギーになります。型にはまらない進路こそが、その子の才能を最も引き出すかもしれません。
高校進学を目指す場合の具体的なルートと注意点

フリースクール卒業後、多くのご家庭が最初に検討するのが「高校進学」です。義務教育が終了するタイミングでの大きな区切りとなるため、どのように準備を進めればよいか不安を感じることも多いでしょう。ここでは、フリースクールから高校へ進むための具体的なルートと、押さえておくべきポイントについて解説します。
高校は、全日制、定時制、通信制と大きく分けて3つの形態がありますが、それぞれに入学試験や日々の過ごし方が異なります。お子さんのエネルギー状態や学習の習熟度に合わせて、無理のない選択をすることが大切です。
通信制高校が選ばれる理由とメリット
フリースクール卒業生の進路として、現在最も選ばれているのが通信制高校です。その最大の理由は、「自分のペースを維持しながら高校卒業資格を取得できる」点にあります。毎日決まった時間に登校する必要がなく、自宅学習や週に数回のスクーリング(対面授業)を中心に進めていくスタイルが、不登校を経験したお子さんの心理的負担を大きく軽減します。
また、近年の通信制高校は教育内容が非常に充実しています。アニメ、ゲーム、美容、スポーツ、eスポーツなど、特定の分野に特化したコースを持つ学校が増えており、興味のあることを学びながら高卒資格を目指せます。フリースクールの自由な雰囲気と、通信制高校の専門的な学びを組み合わせることで、お子さんの意欲が劇的に高まることも少なくありません。
さらに、多くのフリースクールが特定の通信制高校と提携しており、フリースクールに通いながら通信制高校の課題(レポート)のサポートを受けられる体制を整えています。これにより、学習環境を変えることなくスムーズに高校卒業を目指せるのが大きなメリットです。
全日制・定時制高校へ進むための準備
「やはり普通の高校生活を送らせてあげたい」という希望や、お子さん自身が「心機一転、毎日通いたい」と願う場合、全日制高校や定時制高校が選択肢に入ります。これらの学校へ進むためには、一般入試や推薦入試を突破するための学力準備が必要です。フリースクールでの学習が、志望校の入試レベルに達しているかを確認しておく必要があります。
定時制高校は、夜間だけでなく昼間に授業を行う「昼間定時制」や、3部制の学校も増えています。全日制よりも少人数で丁寧な指導を受けられることが多く、不登校経験者への理解がある先生も多いため、ステップアップの場として選ばれることがあります。入試も作文や面接が重視される傾向にあり、これまでの経験をしっかりと伝えられれば合格のチャンスは十分にあります。
全日制への進学を希望する場合は、学力試験の対策と並行して、中学校との連携が不可欠です。欠席日数が多い場合でも、当日の試験結果や面接でのアピール、あるいは「自己申告書」などの提出によって、考慮してくれる学校を探すことが重要です。進路指導に詳しいフリースクールのスタッフや、地域の教育相談窓口に相談しながら情報を集めましょう。
出席扱い制度の活用と内申点の影響
中学生がフリースクールに通う際、非常に重要なのが「出席扱い」の制度です。文部科学省の通知により、一定の要件を満たせば、フリースクールでの活動を在籍中学校の出席日数としてカウントすることが認められています。これが認められると、通知表に欠席と記載されず、内申点の向上につながる可能性があります。
【出席扱いとして認められるための主な要件】
1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
2. ITや対面による指導など、適切な教育支援が行われていること
3. 訪問による対面指導が適切に行われていること
4. 学習の状況が、学校の教育課程に照らして適切であること
この制度を活用するためには、保護者が中学校の校長先生と相談し、フリースクールでの活動内容を報告する必要があります。内申点は高校入試、特に全日制高校の受験において重要な判断材料となるため、早い段階から学校側とコミュニケーションを取っておくことが望ましいです。フリースクールのスタッフが間に入って説明をサポートしてくれるケースもあるため、まずは相談してみましょう。
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の仕組み
高校に進学しない道を選んだり、高校を途中で退学したりした場合でも、「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」に合格すれば、大学や専門学校の受験資格を得ることができます。これは「高校を卒業した者と同等以上の学力があること」を証明する国の試験です。年に2回実施されており、8科目(選択により異なる)に合格する必要があります。
一度にすべての科目に合格する必要はなく、過去に合格した科目は次回の試験で免除されます。また、高校に在籍していた時期があれば、習得した単位に応じて一部の科目が免除されることもあります。フリースクールでは、この高卒認定試験に向けた学習サポートを行っているところも多く、自分の得意な科目から少しずつ挑戦していくことができます。
高卒認定試験に合格することは、学力を証明するだけでなく、お子さん自身の大きな自信につながります。「学校に行っていなくても、自分の力で道を切り拓けた」という実感は、その後の人生において強力な支えとなります。大学進学を目指すだけでなく、公務員試験の受験や資格取得の際にも役立つため、将来の選択肢を広げるための有効な手段となります。
大学・専門学校への進路を実現するためのサポート体制

フリースクールを卒業した後の大きな目標の一つに、大学や専門学校への進学があります。「不登校だったから学力が足りないのではないか」「受験の仕組みが分からない」といった不安を抱えるお子さんや保護者の方は多いですが、適切なサポート体制を活用すれば、進学は決して難しいことではありません。
フリースクール自体が持つ支援機能や、外部の教育サービスを組み合わせることで、お子さんに合った受験戦略を立てることが可能です。ここでは、進学に向けた具体的なサポート内容とその活用方法について解説します。
フリースクール内での学習支援と個別指導
多くのフリースクールでは、単なる居場所の提供だけでなく、学習支援にも力を入れています。集団での一斉授業ではなく、個々のペースに合わせた個別指導や自習サポートが中心であるため、ブランクがある科目でも基礎からじっくりと学び直すことができます。分からない箇所をすぐに質問できる環境は、学習の遅れを取り戻すために非常に効果的です。
また、フリースクールのスタッフは、お子さんの心理状態を深く理解しています。「今日は少し疲れているから、軽めの内容にしよう」「やる気が出ているから、少し難しい課題に挑戦してみよう」といった具合に、その日のコンディションに合わせた柔軟な指導が可能です。この「無理をさせない、でも歩みを止めない」バランスが、長続きする学習の秘訣です。
学習計画の立て方を一緒に考えてくれることも、大きな助けになります。試験日から逆算して、いつまでに何を終わらせるべきかを視覚化することで、お子さんは見通しを持って学習に取り組めるようになります。自分の力で計画を立て、実行する経験は、大学入学後の自律的な学びにも直結する貴重なスキルとなります。
塾や家庭教師と併用するメリット
志望校のレベルや受験科目の特性によっては、フリースクールの学習に加えて、学習塾や家庭教師を併用することも有効です。特に、受験に特化したノウハウを持つ予備校や、不登校経験者の指導に慣れた家庭教師派遣サービスなどを選ぶことで、より効率的な対策が可能になります。
併用のメリットは、多角的な視点から評価を受けられる点にもあります。フリースクールでは精神的な成長を促し、塾では客観的な偏差値や得点力を把握する。この二つの視点があることで、冷静に進路判断を下せるようになります。また、家庭教師であれば、自宅という安心できる環境でマンツーマンの指導が受けられるため、外出が難しい時期でも学習を継続できます。
総合型選抜や学校推薦型選抜の活用
現在の大学入試において、非常に大きな割合を占めているのが「総合型選抜(旧AO入試)」や「学校推薦型選抜」です。これらは学力試験だけでなく、志望理由書、面接、小論文、高校時代の活動実績などを総合的に評価する入試方式です。フリースクールでの経験は、ここで大きな武器になります。
「なぜ学校に行かない選択をしたのか」「フリースクールで何を学び、どう成長したのか」「将来社会で何を成し遂げたいのか」。こうした問いに対し、自分の言葉で深く考え、表現できる能力は、大学側が求める「主体性」そのものです。フリースクールで行われる対話やプロジェクト活動を通じて培われた自己理解は、説得力のある志望理由書を作成するための土台となります。
小論文や面接の対策についても、フリースクールのスタッフが添削や模擬面接を繰り返してくれる場合があります。大人のスタッフと日常的に対話しているフリースクールの生徒は、目上の人とのコミュニケーションに慣れていることが多く、面接で高い評価を得る傾向にあります。自分の歩んできた道を肯定的に捉え、それをアピールできる入試方式は、フリースクール生にこそ適していると言えるでしょう。
オープンキャンパスや学校見学での確認ポイント
進学先を選ぶ上で欠かせないのが、実際のキャンパスに足を運ぶことです。オープンキャンパスや学校見学は、その学校の雰囲気やサポート体制を肌で感じる絶好の機会です。特に不登校を経験したお子さんの場合、「自分がそこに通っている姿をイメージできるか」が非常に重要な判断基準となります。
確認すべきポイントとしては、まず「学生相談室や保健室の充実度」が挙げられます。何か困ったときに相談できる窓口がしっかり機能しているか、どのようなスタッフが常駐しているかを確認しておくと安心です。また、授業の出席管理がどの程度厳しいのか、レポート提出の形式はどうなっているかなど、具体的な学習面での融通についても聞いておくとよいでしょう。
可能であれば、個別相談コーナーで不登校の経歴があることを伝え、どのような配慮が受けられるかを直接質問してみるのも一つの方法です。誠実に対応してくれる学校であれば、入学後も安心して過ごせる可能性が高いです。親が先行して確認するのではなく、お子さん自身が「ここなら通えるかも」と思える感覚を大切にしてください。
就職・自立に向けたキャリア形成のステップ

フリースクールを卒業した後、すぐに進学するのではなく「働くこと」を通じて社会とつながりたいと考えるお子さんもいます。あるいは、将来的に自立するためにどのようなスキルが必要かを知りたいというニーズもあるでしょう。就職やキャリア形成は、学校教育とは異なる「実社会での学び」の連続です。
不登校を経験したお子さんにとって、働くことは大きな自信につながる一方で、人間関係や責任へのプレッシャーを感じる場面でもあります。焦らず、段階を踏んで社会との接点を増やしていくための具体的なステップを見ていきましょう。
インターンシップや職場体験の機会
働くことのイメージを具体化するために、まずは短期のインターンシップや職場体験から始めるのがおすすめです。フリースクールの中には、地域社会とのネットワークを活かして、提携企業での就業体験プログラムを提供しているところがあります。いきなり「採用」という形ではなく、まずは「見学・体験」という形で現場に入ることで、心理的なハードルを下げることができます。
職場体験のメリットは、自分の得意・不得意を客観的に知ることができる点です。「接客は苦手だと思っていたけれど、品出し作業は没頭できて楽しい」「静かな環境なら集中して作業ができる」といった発見は、将来の職種選びにおいて貴重なデータとなります。また、実際に働いている大人と接することで、「社会には色々な人がいるんだ」と安心感を得られることもあります。
こうした体験を通じて、お子さんが「自分にもできることがある」という自己効力感を持てるようになることが何より重要です。失敗しても、それがフリースクールという安心できる場所で振り返り、次に活かせる材料になります。急いで結果を出そうとせず、まずは社会の空気に触れることから始めてみましょう。
サポートステーションなどの外部機関との連携
自立に向けた準備をフリースクールの中だけで完結させる必要はありません。社会には、若者の就労を支援する専門機関が数多く存在します。その代表例が、厚生労働省が委託して運営している「地域若者サポートステーション(サポステ)」です。ここでは、15歳から49歳までの、働くことに悩みを抱える方を対象に、専門的な支援が行われています。
サポステでは、キャリアコンサルタントによる個別カウンセリング、コミュニケーション講座、ビジネスマナー研修、そして職場実習など、多角的なプログラムが用意されています。フリースクールの卒業生も多く利用しており、個々のペースに合わせた「オーダーメイドの支援計画」を作成してくれます。スタッフは不登校や引きこもりの経験に詳しく、否定せずに寄り添ってくれる存在です。
また、ハローワークの「新卒応援ハローワーク」や「わかものハローワーク」も活用できます。これらの機関には、心理職やキャリア支援の専門家が配置されていることが多く、履歴書の書き方や面接の練習など、実践的なサポートを受けることができます。外部の支援を「頼れる味方」として活用することで、親子だけで抱え込む負担を減らすことができます。
資格取得やスキルアップのための学び
就職を有利にするため、あるいは自分に自信をつけるために、資格取得を目指すのも良い選択です。特定のスキルを持っていることは、実社会において大きな武器になります。フリースクールでの時間を活用して、興味のある分野の勉強を深め、公的な資格に挑戦するお子さんは少なくありません。
例えば、IT関連の資格(ITパスポートやMOSなど)は、どのような職種でも重宝されます。また、デザイン系のソフトを使えるようになったり、簿記の知識を身につけたりすることも有効です。最近では、オンラインで受講できるプログラミングスクールや資格対策講座も充実しており、自宅やフリースクールから自分のペースで学ぶことができます。
資格取得のプロセスそのものが、学習習慣の形成や目標達成の喜びを知る良い機会となります。結果として資格が取れなかったとしても、そのために努力したプロセスは無駄にはなりません。自分が「これなら続けられる」と思える分野を見つけることが、キャリア形成の第一歩です。
自分のペースで働く在宅ワークやフリーランスの視点
「会社に毎日通う」という従来の働き方がどうしても難しいと感じる場合、在宅ワークやフリーランスという選択肢を検討することも現代では現実的です。クラウドソーシングサービス(インターネット上で仕事を発注・受注する仕組み)を活用すれば、ライティング、データ入力、プログラミング、イラスト制作など、多様な仕事を自宅で行うことが可能です。
在宅ワークの利点は、自分の体調や精神状態に合わせて仕事の量を調整できることです。対人関係のストレスを最小限に抑えながら、自分のスキルを報酬に変える経験は、大きな自立への一歩となります。フリースクールでITスキルを磨き、卒業後すぐに個人事業主として活動を始める若者も現れています。
ただし、フリーランスは自己管理能力が求められるため、いきなり専業にするのは難しい面もあります。まずは副業やアルバイト感覚で少額から稼ぐ経験を積み、徐々に仕事の幅を広げていくのが賢明です。「働き方は一つではない」という柔軟な視点を持つことで、お子さんの将来に対する不安が希望へと変わるかもしれません。
卒業後の進路選びで大切にしたい子どもへの接し方

フリースクール卒業後の進路を考える際、最も重要なのは「どの道を選ぶか」以上に、「どのように選ぶか」というプロセスです。保護者の方はつい「失敗させたくない」「早く安心したい」という思いから、先回りして答えを出してしまいがちですが、それがお子さんのプレッシャーになることもあります。
進路選びは、お子さんが自分の人生の主導権を握る大切なチャンスです。周囲のサポートを受けながらも、最終的には本人が納得して一歩を踏み出せるよう、家庭での接し方で意識したいポイントを整理しました。
本人の意思とペースを尊重する重要性
進路について話し合う際、まず大前提となるのが「本人の意思を最優先にする」ことです。たとえ親から見て「この高校の方がいいのに」「この専門学校の方が将来安泰だ」と思ったとしても、本人が望まない道を選ばせてしまうと、入学後に再び行き詰まってしまうリスクが高まります。
フリースクールに通っている間、お子さんは自分自身と向き合い、心のエネルギーを蓄えてきました。その結果として出てきた「こうしたい」という言葉や、逆に「今はまだ動けない」という沈黙も、すべて大切な意思表示です。親の役割は、お子さんの決断をジャッジすることではなく、その決断をサポートすることだと捉えましょう。
また、進路を決める時期についても、世間の「卒業シーズン」に合わせる必要はありません。卒業後、少し休養期間を置いてから次のステップを考える「ギャップイヤー(空白期間)」があっても良いのです。本人のエネルギーが満ちてくるのを待つ忍耐強さが、結果としてその後のスムーズな自立につながります。
焦りや不安を解消するためのコミュニケーション
進路の話はどうしても重くなりがちですが、なるべく「日常の会話の延長」として触れるようにしましょう。食事中やリラックスしている時に、世の中にある色々な仕事の話や、親自身の失敗談などを軽く共有する程度から始めます。「将来どうするの?」という直接的な問い詰めは、お子さんを追い詰めてしまう可能性があります。
もしお子さんが不安を口にしたら、「そんなの心配しなくて大丈夫だよ」と安易に否定するのではなく、「そう思うくらい、将来のことを真剣に考えているんだね」と、その気持ちを受け止めることが大切です。不安な気持ちを吐き出せる安心感があれば、お子さんは自ら情報を集め、前向きに考え始めることができます。
また、親自身が自分の不安をコントロールすることも重要です。親が焦っていると、その空気感はお子さんに伝わります。「どんな進路を選んでも、私たちはあなたの味方だよ」というメッセージを、言葉と態度の両方で伝え続けることが、お子さんの心の安定に寄与します。
情報収集を親が先導しすぎないコツ
進路に関する情報収集は、つい親が熱心になりすぎて資料を山ほど取り寄せたり、見学会の予約を勝手に入れてしまったりしがちです。しかし、これではお子さんは「自分のことなのに、他人が決めている」と感じ、当事者意識を失ってしまいます。
良いバランスは、「選択肢を提示するけれど、選ぶのは本人に任せる」というスタンスです。「こんな学校があるみたいだけど、興味ある?」「資料が届いたから、気が向いた時に見てみてね」と、情報をそっと置いておくイメージです。お子さんが興味を示した時に初めて、一緒に詳しく調べたり、見学の段取りをサポートしたりするのが理想的です。
デジタルネイティブである今のお子さんは、SNSやネット掲示板などで、親が知らないようなリアルな情報を集めていることもあります。お子さんが集めた情報を尊重し、「教えてくれてありがとう」という姿勢で接することで、対等なパートナーとして進路について話し合える関係が築けます。
失敗しても大丈夫だと思える安心感の提供
進路選びにおいて、お子さんが最も恐れているのは「次の場所でもまた学校に行けなくなったらどうしよう」「もし失敗したら、もう後がない」というプレッシャーです。この恐怖心が強すぎると、挑戦すること自体を諦めてしまいます。そのため、家庭の中に「失敗しても大丈夫」というセーフティネットを作っておく必要があります。
具体的には、「もし選んだ道が合わなかったら、また別の道を探せばいい」「一度休んでから、やり直しても全然問題ない」という選択肢を常に示しておくことです。人生は一本道ではなく、何度でも修正が可能であることを、親の言葉で伝えてあげてください。フリースクールでの経験そのものが、一つの正解に縛られない生き方のモデルとなっているはずです。
「どんな結果になっても、ここに帰ってきていいんだ」という心の拠り所(安全基地)があるからこそ、お子さんは外の世界へ一歩を踏み出す勇気を持つことができます。進路の結果そのものよりも、その過程でお子さんと信頼関係を深められたかどうかに目を向けてみてください。
進路選びは一度で完璧に決める必要はありません。まずは「今の自分にできそうなこと」から始めて、徐々に形を変えていく。そんな柔軟なスタンスが、フリースクール卒業後の健やかな歩みを支えてくれます。
フリースクール卒業後の進路は多様!子どもの未来を一緒に見守るために
フリースクール卒業後の進路について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。かつては不登校を経験するとその後の選択肢が限られるというイメージもありましたが、現在は社会の理解が進み、進学も就労も驚くほど多様なルートが用意されています。
大切なのは、周囲が決めた「正解」に当てはめることではなく、お子さん自身が「ここなら自分らしくいられる」「これをやってみたい」と思える環境を、納得感を持って選ぶことです。通信制高校、高卒認定、大学での専門的な学び、あるいは自分のスキルを活かした働き方など、どの道も輝かしい未来につながっています。
保護者の方にできる最大のサポートは、お子さんの可能性を信じ、焦らずにその成長を見守ることです。フリースクールで過ごした時間は、決して遠回りではありません。そこで得た自己理解やレジリエンス(折れない心)は、これからの長い人生において、どの学校の卒業証書よりも価値のある財産となるでしょう。お子さんのペースで、一歩ずつ新しい扉を開いていけるよう、これからも温かく寄り添っていきましょう。



